「恋って、何?」
 それは――――17歳っていう年齢でする質問じゃないのかもしれない。
 少なくとも、第二次性徴期が終わる頃には何かしら自分の中に
『コレだ!』っていう答えを持ってる方が一般的。
 世間様はそうらしい。
 でも、俺は違う。
 俺はこの年齢になっても、恋ってモノが全くわからない。
 ホントに、全然、これっぽっちもわからない。
 けれど、これを他人に聞くのは余りに恥ずかしすぎる。
 だからずっと悩んでた。
 一人で悩み悶えていた。
 乳首の周囲に生えている毛は抜いた方がいいのか、
 抜くと濃くなって余計ヤバいから残しておいた方がいいのか、
 それと同じくらい悩んでた。
 けど――――限界だ。
 流石に、高校生、それも来年高三ってところまで差しかかって、
 恋だの愛だのを全く語れないってのは、ちょっとシャレにならない気がする。
 だから思い切って、聞いてみた。
「……それ、わたしに聞く?」
 聞かれた本人は、アンビリーバボーって顔でこっちを凝視している。
 まあ、無理もない。
 こんな事を突然、実の兄に質問されれば、ドン引きするのは当たり前だ。
 ただ、俺にしてみたらここまで適切な質問相手はいない。
 なにせ、妹はモテる。
 年は俺の2つ下、15歳。
 彼氏いない歴累計、6年。
 意味がわからないという人もいるだろうから詳しく説明すると、
 この妹に彼氏がいなかった時期は、0歳〜5歳まで、という事だ。
 6歳からずっと、誰かしらいる。
 長続きしたのは小学生時代くらいで、中学生になると月単位で
 めまぐるしく変わるもんだから、この家を訪れた男の数は相当な人数に上る。
 猛者だ。
 恋愛猛者と書いて『ラヴマイスター』とでも名付けようか。
「わたしにわかるわけないでしょー。わかってたらこんなに彼氏取っかえ引っかえ
 しないって。恋愛とかもう、意味わかんない」
「え……そうなの? ラヴマイスターでもわからないとなると、
 もう俺お手上げなんだけど。聞く相手いないんだけど」
「仕方ないじゃない。わかんないんだから」
 ラヴマイスターは優雅にスルーされた。
 若しくは、気に入ったのかもしれない。
 まあ、それはいいとして……弱ったな。
 恋愛の達人と思ってた妹は、実は恋愛迷宮入りしてた。
 ラヴラビリンスだ。
 となると、どうやら恋愛ってのは異性と付き合うだけじゃわからないらしい。
 難易度高い。
 高すぎる。
「って言うか、急にどしたの。恋バナとかするの苦手だったクセに。
 わたしが散々『コイツどーおもう?』って男の相談持ちかけてもスルーしてたでしょ」
「アホか。妹の男漁りに興味を持つ兄が何処にいる」
「だから余計に不思議なんじゃん。ホント、どったの? 頭でも打った?
 それとも暇だからってケータイ小説読んで、伝染しちゃった?」
「ケータイ小説って病原菌だったのか……初めて知った」
「似たようなモンよね。アレ、ずっと読んでるとマジでイっちゃいそうになるし」
 どうイっちゃうんだろう。
 ちょっと興味出てきたな、ケータイ小説。
「……待てよ、小説か。恋愛小説。おう、恋愛小説。それでいこう」
「は? 今度は何」
「いや、恋愛について学ぼうかなって思ってんだけど、それなら恋愛小説を
 参考にすればいいのかも、ってふと思って。恋愛マンガは読んだ事あるけど
 恋愛小説ってノータッチだし」
「マンガも小説も変わらないってば。恋愛小説とか恋愛ドラマとかって、
 ストーリーを進める為に恋愛で飾ってるだけのモノじゃん。あんなので
 リアルがわかったら苦労しないよ」
 ウチの妹は15歳の割に妙に悟っていたりする。
 多分、歴代彼氏の中には大学生くらいの男もいたんだろう。
 そう考えると、ビッチだねえ。
「……何、その目」
「いや、ビッチなんだろうなあ、と思って」
「うっわ、妹相手にそんな事言う? 普通言う? ってか、ネット以外で
 ビッチなんて言われた事ないし」
「ネットでは言われてたのかよ。ツイッター?」
「ツイッター。前の前の前の前の前の彼氏の事一日中呟いてたら、ビッチって
 リプライされた。意味わからないし。なんで彼氏の事呟いたらビッチ?」
「俺はリプライとかいう言葉の意味がわかんない」
 ツイッター、興味ナシ。
「こうなったら、『俺の妹が中学生なのに彼氏作りまくりのビッチで困る』
 って恋愛小説探すか? そこに真相が載ってるかもしれないし」
「何でそーなんのよ。ってかビッチじゃないし。二股とかも全然ないし」
「確かに重なった時期はないって言ってたよな。そういう律儀さは
 兄として誇らしいぞ」
「うわ、キモ」
「キモって言っておけば照れてるのを隠せると思うなよ」
 妹は何気に照れ屋だ。
 あと、ビッチと言った手前アレだけど、別に軽くはない。
 っていうのも、平日休日に限らず、必ず朝食、昼食、夕食は家で食べる。
 夕食以降、家から出る事もない。
 じゃあ昼間に彼氏とエッチしてんのか、っていうと、違うらしい。
「……って、まさかお前、処女じゃないだろな。彼氏いる歴9年で」
「……」
 返答がなかった。
 怖っ!
 9年間、彼氏を取っかえ引っかえで処女とか……それは俺でも引くわ。
「お前、何なんだよ。処女じゃなきゃ絶対お金落とさない人達を相手に
 何か商売でもしてんのか。何度も握手したりしてんのか」
「いや、握手してる方はそれ守ってないと思うけど。ってか違うし。処女じゃないし」
「本当にか?」
「……」
 返答がなかった。
 ……我ながら、変な妹を持ってしまった。
 ま、それはいいとして。
「話が脱線しすぎたんで、一旦戻そう。恋愛って何なのさ」
「だから、わたしに聞いてもわかんないっつってんでしょーが。
 そういうのはオヤジかお母さんに聞けばいいでしょ」
「ウチの親、今冷戦中じゃん。もう二週間口も利いてないぞ。
 何が原因か知らないけど。ってか、良く揉めてるよな、ウチの親。
 俺らの事で揉めてるっぽいけど、教育方針か何かでズレてんのかな?」
「だから、この話題できっかけ作ればいいじゃん」
 妹の性格一口メモ、その2。
 割と親思い。
 ……これでビッチとか、どこの世界の御伽噺だ。
「親に気を使う余裕はないの。とにかく、俺は恋って何なのか、
 愛って何なのか、恋愛ってどんなモンなのかを知りたいだけなんだよ」
「薄情者」
 妹はこれ以上会話をする気がないらしく、そっぽを向いてしまった。
 ちなみに――――ここは妹の部屋。
 6畳の空間に、オフホワイトの壁紙と木製の家具が並ぶ、質素なデザイン。
 アイドルの写真やポスターなんかは一切ない。
 彼氏と一緒に取った写真すらない。
 彼氏の貢ぎ物も、押し入れの中。
 ……こいつ、ホントになんなんだろう。
「もう、用が済んだら早く出てってよ。これから受験勉強するんだから」
「へいへい」
 用が済んだ訳じゃないけど、ここにいても得るモノは何もない。
 俺は手をヒラヒラさせながら、妹の部屋をあとにした。


 相良凛(さがら りん)。
 こんな女でも通じそうな名前なもんで、自己紹介の時は大抵、
 微妙なリアクションをされる。
 勿論、オカマって訳じゃない。
 中性的な顔立ちでもない。
 顔面偏差値はフツー。
 趣味は人間観察……っていうと、誤解されそうだけど、
 要は人間の感情に興味がある、って事。
 それなのに、俺は恋愛感情というものに全くもって疎い。
 少なくとも、自分自身でそれを感じた事はない。
 ただの一度も。
 初恋、というものに巡り逢っていない。
 だから、恋がわからない。
 理屈としては、わかる部分もある。
 好きになる。
 人に対して好意を持つ。
 それくらいは、俺にだって経験がある。
 例えば優しくされた時。
 俺の友達に、上原慎一っていうのがいるんだけど、そいつとは
 長い付き合いで、小学1年の頃からずっと同じクラスで、親友だ。
 そいつが小2の時、俺を救ってくれた事がある。
 あれは、授業中。
 俺は尿意を催し、今にも破裂しそうな膀胱に向かって
「頼む、がんばれ、がんばってくれ」と祈っていた。
 でも、膀胱も所詮は細胞の集まり。
 そこには生物学的限界がある。
 俺は気が狂いそうになりながら、時計を見た。
 授業が終わるまで、あと20分。
 死の宣告だ。
 シャイな俺に、授業を止めて『先生、おしっこ』とは言えない。
 でも、20分我慢できるような状態でもない。
 なにしろ、下半身が痺れてきた。
 俺が小1の時、同じ状況で漏らしたクラスメートがいた。
 担任は『この事は誰にも話さないように』とクラスの連中に釘を刺した。
 でも、そいつはあえなく『しょんべん』と呼ばれるようになった。
 せめて小僧くらい付けようよ。
 そんな、心の中で淡い同情を抱いていたのも遠い昔。
 アレと同じ運命を辿る事を、俺は覚悟した。
 その時――――
『先生、トイレ行ってきていいですか。あ、コイツもついでに』
 慎一先生は、そんな男前な発言で、俺を救ってくれた。
 あ、紛らわしかったけど、慎一先生ってのは教師の事じゃなくて、
 上原慎一に対して俺が呼んでる呼び名。
 この件以来、俺は奴の事を尊敬し、先生と付けるようになった。
 本人は未だに嫌がってるけど、俺としてはあのエピソードを
 忘れたくないんで、断固として慎一先生で通している。
 って訳で、俺はその慎一先生が好きだ。
 でもホモじゃない。
 ゲイじゃないしバイでもない。
 そもそも慎一先生でおっ立った事なんてない、当たり前だけど。
 じゃあ、どういう事か。
 恋ってのは、異性に対する好意全般の事なのか。
 俺が慎一先生に対して抱いている感情と同じモノを、異性に対して
 持ったとしたら、それが恋って事になるのか。
 ……違う気がするんだよな。
 でも、その可能性も一応否定は出来ない。
 自分だけが否定してるに過ぎないんだから。
「……慎一先生に聞いてみるか?」
 心の中で独り言。
 他に相談できるような友達はいない。
 とは言え……慎一先生も恋愛には疎そうなんだよなあ。
 奴は絵に描いたような優等生。
 顔は俺より男前で、シュッとした鼻筋なんか特にイケメンオーラ
 出まくりなんだけど、女っ気は全くない。
 だもんで、中2の時に『お前、ホモか若しくはそれに準ずる何かか』
 って訊ねてみたら、真顔で説教された。
 そんな事を直球で聞く奴は社交性がないとみなされるぞ、と。
 ごもっとも。
 いや、お前だから直球で聞いたんだよ、とも言い出せず、俺はずっと
 説教を聞いていた。
 ちなみに、ホモ説は特に肯定も否定もせず。
 まあ、否定するのもバカバカしい、って事なんだろう。
 じゃあなんで彼女作らないのか聞いてみたところ、『興味ない』という
 微妙な返答。
 俺の中で、奴がホモだという可能性が2%くらい残った。
 なんで、恋愛相談は難しい。
 もしその2%が……という恐怖が先に立つ。
 こうなってくると、いよいよ相談相手はいない。
 妹も親友もダメ。
 両親は……やっぱ無理がある。
 っていうか、親に恋愛の話なんてしたくないし。
 親相手じゃエロネタも言えない。
 そんな恋愛相談、恋愛相談じゃないだろう。
 ……って、これも俺の勝手な想像なんだけど。
 エロと恋愛は、かなり深く結びついているように思う。
 ただ、それに関しても、憶測の域を出ない。
 何しろ、俺にエロの経験はない。
 エロ要素を含んだ経験すらない。
 接触以前に、パンチラすら見た事ない。
 ……17年も生きてだよ?
 そりゃ恋もわからないってなもんだ。
 正直、このままじゃ社会不適合者になりそうだ。
 世の中のコミュニケーションの多くは、恋愛が不可欠らしい。
 これは、テレビで仕入れた情報だから、話半分、それ以下で聞いておくべき
 だとは思うんだけど、高校生以降の人間の会話の殆どは、仕事、恋愛、年金、
 病気の4つで埋め尽くされるという。
 四天王の中の一角を占める、恋愛。
 それ以外のトピックは、まだ覚える必要のないものばかりだけど、
 恋愛は今の内にわかっておきたい。
 特にきっかけがあった訳でもないんだけど――――あえて言えば、
 クラスメートの昨日の会話。

『翠(みどり)、恋愛は文字なの。言葉なの。言葉という情報が恋愛の全てなのよ』
『えーっ、違いますですよ。恋愛は衝動なのです。コントロール出来ない欲望
 こそ恋なのです。月夜(つくよ)は幻想を抱いてるだけなのですよー』
『そっちだって、空想ばっかりじゃない。大体、衝動なんてその辺の動物にだって
 あるでしょ? 動物が恋愛なんてするの? そりゃ、交尾はするだろうけど
 あれは子孫を残さないとって遺伝子が囁いてるからでしょ?』
『ちーがーいーまーすー。恋愛なのです。動物だって、私たちと違う言葉を
 使って、恋愛してるのです。だから、衝動なのですよ。湧き上がる感情、
 ほとばしる情熱。それが恋愛のエネルギーの源なのです』

 ……俺の席の後ろの方で、そんな奇妙な舌戦が行われていた。
 それに影響を受けた事は、まあ否定はできない。
 でも、実は頭の中にずっとあった。
 だから、原因ってよりは誘因。
 元々あった疑問が、昨日のクラスメートの会話によって引き出された。
 そして今日、俺はそれについて絶対に知りたいと思うに到った。
 恋愛とはなんぞや。
 少なくとも、言葉や衝動と限定するものじゃない、と思うけど、
 実はこれらが正しいのかもしれない。
 果たして、誰が答えてくれるのか。
 そもそも、答えなんてあるのか――――

 なんてコトを考えながら、俺はこの日を睡魔と共に終えた。

 


 翌日。
「恋って、何ですか?」
 俺の真っ直ぐな質問に対し、教師の柊鏡花(26)先生は
『このガキ急に何言ってんだ? 頭がお花畑で許されるのは小学校までだぞ』
 というイラっとした感じを顔に出していた。
「あの、急にどうしたの? というか……貴方はどのクラスの生徒?
 私が受け持ってるクラスにはいないよね?」
「ええ。学年違いますし。先生は1年、俺は2年」
「だ、だったら何で……」
「ご婚約されたと聞いたもので。あ、おめでとうございます」
「あ……ありがとう」
 早朝、職員室を訪れて、最近婚約したばかりという柊先生を突撃した結果、
 かなりドン引きされてしまった。
 いや、こっちにも言い分はあるんだ。
 妹にも相手にされず、親友もアテにならないとなると、相談相手はもう
 教師くらいしかない。
 学校不信、教師不信が叫ばれて久しい世の中だけど、何だかんだで
 教師は人生の師。
 有効利用しない手はない。
 ちなみに、ウチの担任は定年間近の枯れたおじいちゃんなので、
 余り参考にはならないって事でスルー。
 それより、婚約したばかりの女性の方がずっと頼りになる。
「という訳で、恋愛というものを知らない俺に、恋愛について
 御教示頂けないかなと」
「……恋愛について」
「そです」
 なにしろ、結婚は恋愛の到達点。
 勿論、そこには紆余曲折があって、時に泣きわめき、時に狂喜乱舞しながら
 辿り着いた事は想像に難くない。
 そんな経験を経て、それでも一緒にいたいと思わせる何かがあるからこそ
 婚約なんてするんだろう。
 その『何か』が、恋とか愛に大きく関わってくる筈。
 なら、彼女はそれを知っている訳で、ここに答えがあるに違いない。
 さあ、言え。
 恋愛とは何だ!
 さあ……!
「そうね……恋愛とは。そういえば、一度も考えた事なかったかも」
「……は?」
「いや、あのね、恋愛って何かっていきなり質問されても、これっていう
 明確な言葉は思い浮かばないっていうか……あんまり頭で考えてなかった
 って言うか……んー」
 教師にあるまじき曖昧な発言を繰り返す柊先生の顔が、
 みるみる内に青ざめていく。
 生徒に対して明確な答えを提示出来ない、教師としての未熟さに
 絶望しているのだろうか。
「……寧ろ、恋愛なんてクソくらえって言うか、恋とか愛とか
 毎日呪文みたいに繰り返すガキどもにウンザリしてて、一生独身でいようって
 決心したところに、いきなり幼なじみから『俺と結婚するか、俺と一生会わないか
 ここで決めてくれ』って意味不明な決断迫られて、それってどうなの、
 一生一緒に過ごす相手に殆ど脅迫レベルの告白してそれでアンタいいの、
 って思ったけど、まあ気心知れてるし、一緒にいて苦痛にはならないから
 それなら別にアリか、まだ結婚適齢期にはほど遠いけど、このあたりで一旦
 落ち着いた方が両親も喜ぶし世間体的にもいいかもしれない、何より経済的に
 余裕が出来れば精神的な余裕に繋がるし、教師として不適切な思考に囚われる事も
 減るだろうから、身を固めるには頃合かもね、って思って婚約したんだけど、
 これって……恋?」
「いや、俺に聞かれても。って言うか、何かすごいですね。色々。
 俺、もしかして余計な事言ってマリッジブルー誘発しちゃいました?」
「いいのよ。いいの。私だって大人なんだから、打算と理想のちょうどいい
 中間点くらい見つけてるの。あ、もしかしたら、それが恋かも。
 恋とは、理想と打算のあいだ。これってどう? 何気に核心ついてない?」
「だから、俺に聞かれても。聞いてるの俺ですから」
「恋なんて大人になればなるほど難しいのよ……」
 柊先生は机に突っ伏してしまった。
 初対面で変な事聞いた俺も悪いけど、この人も初対面の生徒になんつー事話すんだ。
 朝っぱらから嫌な適齢期女性の胸の内を聞いてしまった。
 でも……『恋とは、理想と打算のあいだ』ってのは、何気に収穫かもしれない。
 とりあえず、一つの可能性はゲットした訳だ。
 これが正解かどうかは置いておくとして、こんな感じで『恋とは』シリーズを
 集めていけば、恋、愛、恋愛ってモノの実体が掴めるかもしれない。
 さて――――授業受けよっと。
「あ」
 うおっと、突然のすっとんきょうな声。
 声のした背後を向くと、柊先生が上体を起こして俺を凝視していた。
「ねえ、もしかして君、『恋愛部』とか、そんな感じの新しい部を作ろうとか
 思ってる? なんかそういう流れ? だったら、私が顧問になってやろっか?
 ちょっと興味出てきたから」
「一切そんな予定はないし、そんな展開意地でもお断りです」
「えー」
 柊先生は心の底から落胆したらしく、また机に突っ伏した。
「幼なじみってビミョーなのよねー。トキメキないし。妥協の産物?」
「嫌な現実を未来ある若者に問い掛けないでください」
 ちなみに、現実では妹もビミョーな生き物だ。
 それでも、ウチのはまだ特殊というか、マシな部類って気もするけど。








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