「さて、全員揃ってるね」
 その日の深夜。
 扉を閉めながら言い放つ出水の言葉が、冷たい空気を張った情報処理教室Cに響き渡る。
 その中には、忍と名夕、そして譲と薫子の姿もあった。
 全員が、日中そこにいたメンバーの一部。
 しかし、そこに漂う雰囲気はまるで異なる。
 それは単に、時間帯の問題だけではない。
「……この二人も、アレの捜索隊なのか」
「ま、ね。一人だと色々不便だから、三人で潜入捜査中ってワケさ」
 忍のジト目が、譲と薫子へと向けられる。
 共に、日中と変わった様子はない。
『3Dブレーカー』の影響下にはない人物、と言う事だ。
「さて。今日のミーティングは、今後の捜索方針の決定の為です。時間も時間ですから、チャチャッと始めましょう」
「方針……ね。所持者の目星を付けるって事か?」
「そう。遠藤クン、君は変わらず刹那朱莉を推すかい?」
 答えを求められた忍は、口をへの字にして顎に手を当てた。
「それなんだけど、ちょっと考えって言うか、試してみたい事があるんだけど」
「試してみたい事? 何だい?」
「俺等がここ最近、実際に体現してきたストーリーから、その筆者を特定できないかな、と」
 つまり――――物語として描かれた現実を回想し、そこから描き手の人格、性質などを分析し、候補者を絞る……と言う事だ。
「それは、ボク達もやってるよ。元になる文章は、こっちもデータとして持ってるんだから」
「それはあくまでも文章で、だろ? こっちは実際にその物語を経験してるんだ。行間に隠された、作者ならではの思考とか性癖とか、そう言う所から見えてくるモノもあると思う」
「……成程ね。確かに、主観的なアプローチって言うのは興味深い。なにしろ、実生活がそのまま追体験になるんだものね」
 その中性的な顔を緩め、出水が仲間の二人に視線を向ける。
 二人は同時に、強さこそ異なるものの、頷いて見せた。
「それなら、キミ達が共通して体験している部分がいいね。この甲乙高校に入学してからのエピソードだ。それを分析してみよう」
「那由他、それで良いか?」
 すっかり借りてきた猫になってしまっている名夕は、カクンとぎこちなく頷いた。
「……内弁慶過ぎるだろ、お前。スライムみたいな目になってるし」
「ソンナコトアリマセン」
 ロボ語だった。
「そんなに堅くならなくても大丈夫だよ。ボク達は君の味方だから」
 まるで海外からの出稼ぎ芸能人のような胡散臭い物言いで、出水はニッコリ微笑む。
 名夕が慌てて俯く様を、忍は静かに眺めていた。
「さて、と。それじゃ早速、分析とやらをしてみてよ」
 眉間に皺を寄せつつ、忍はその言に従い、ここ十日ほどの日常を回想した。
 名夕もそれに続き、暫し沈黙が続く。
 どれくらい、それが続いたか――――
「総じて言えば、駄作じゃないか、と」
 先に口を開いたのは、忍だった。
「駄作……とは、どんな風に?」
「まず、主人公は俺だよな。俺の目的は、彼女を作るコト。これは間違いないよな?」
「そうです。我々の元にあるテキストファイルにも、その旨は克明に記されています」
 忍の言葉に、譲が深く頷く。
「でもその割に、恋愛方面のストーリーが殆ど出てこない。主人公の俺は、それなりに色々考えてるけど、全部俺の頭の中だけで、物語として成立してない」
「成程。つまり、『3Dブレーカー』の持ち主は、恋愛に疎い人間……と言いたいんだね?」
「ああ。間違いないと思う」
 そう言い切ったのは――――自分がそうだからだ。
 忍も、恋愛経験は希薄。
 その為、ラブストーリーは全然描けない。
「んくっ」
 自分も心当たりがあるのか、名夕が流れ弾を食らっていた。
「となると、恋人のいない、若しくは浮いた話すらない人間に絞られるね」
「素晴らしい分析かと」
 譲が小さく拍手する中、忍は若干目を細めて照れた。
「次は……コメディセンス。初っ端にオカマの担任を使って、ハジけた感じを演出したかったみたいだけど、それ以降は全然活用できてない。ぶっちゃけ、笑いのセンスはあんまりない。って言うか、この設定よく具現化できたな」
「元々、そう言う素養のある人物が教師の中にいたのかな」
「……」
 冷静に忍の意見を聞く出水とは対照的に――――薫子は、殆ど言葉を発せず、でも鋭い視線を保ちながら、話を聞いていた。
「まあ、コメディセンスがないと言う事は、余り他人と接してないんだろうね。その手のセンスはコミュニケーションの密度が生み出す産物だから」
「では、余り友達がいない内向的な人物、と言う事ですね」
 譲がキーボードをタタタと叩く。
「次は、冗長さ。言い回しがいちいち長ったらしい。展開も遅い。プロの連載作家じゃないんだから、別に引き延ばす理由もないハズなのに」
「要点をまとめる能力に欠けている。これもコミュニケーション力の不足だね」
「では、友達が皆無で根暗な人物、に訂正ですね」
 タタタタン。
「そもそも、展開が弱いって言うか、何で惹き付けたい、何を訴えたい、って言うのも見えてこない」
「と、言うと?」
「刹那朱莉に振り回される面々を面白おかしく描くのなら、もっとそこがメインになるべきだろ? でも、実際には大した活動はしてない。生徒会との抗争をメインにするなら、生徒会との対立構造をちゃんと描くべきだ。例えば、部員が少ないとか、実績がないとか言う理由で、向こうがクレームを付けてくるとか」
 延々と、忍は持論を語った。
 それはもう冗長に。
「確かに正論だね。部活動の描写が希薄なのは、部活の経験がない証拠かも知れない」
「では、常にぼっちな人物と言う事になりますね」
 タタン。
「後は……多人数でワイワイやるべきシーンも、結局二人か三人で科白を回してて、キャラクターを上手く活かせてないとか」
「一人っ子なのかな。家族が少ないから、大人数のシーンが描けないのかも」
「では、将来は孤独死、と」
 タン。
「俺からは、こんなトコかな」
「大分絞り込めたね。ありがとう。それじゃ、次は那由他サ……どうしたの?」
 那由他は耳を塞ぎながら机に突っ伏していた。
「あの……もしかして犯人、私かも。なんか、自分の欠点を全部抉られたような気分なんですが」
「それは、お前がヤツの作中で『描いてる役』をやってたからだろ?」
「いえ。私そのものです。そうに決まってます。なんかもう、死にたいくらいです」
 ゆらりと顔を上げる名夕の目が、潤いまくっていた。
「いやまあ、それを言うなら、俺だって……まあ」
「つまり、物書き志望の未熟な高校生、と言うトコロに落ち着くワケだね」
 歪んだ笑みを浮かべる出水に対し、参謀的立ち位置の譲は腰から一礼した。
「その通りかと。実際、ある程度まとまった文章を、それも長期に亘って描くとなると、一般の生徒には敷居が高いと思われます」
「と、なると……薫子。国語の成績が偏差値65以上、かつ文章作成能力が標準以上の生徒……は既にピックアップしてるよね。そこから一人っ子で友達いない人、抽出できる?」
「誰にモノ言ってるんですかド腐れ上司。薫子ちゃんの情報収集能力ナメてんのかコラ」
 上司に対する口の利き方とは思えない、頼もしい返事。
 出水は親指を立てて、それに応じた。
「いや、ボクとしては結構ドタバタしてる話を描いてるって印象だったから、もっと明るい人をマークしてたんだよ。盲点だったなあ。キミ、洞察力あるね」
「……それ程でも」
 余り突かれたくない部分なので、忍は胸に手を当て俯いた。
「取り敢えず五人見つかった。薫子ちゃん優秀。褒めろ」
 ぶっきらぼうな言葉と共に、薫子が挙手する。
「うん、流石仕事が早い。さて……あれま、五人のウチ、キミ達二人とも入ってるね」
「どうして、入学したばかりの私達の国語の成績が……」
 名夕の言葉に、忍も顔をしかめるが、返答なし。
 そして、残りの三人はと言うと――――
「文芸部の二年、夏目勘九郎。帰宅部の三年、八代一樹。そして……生徒会副会長、猫屋敷若庵」
「へえ」
 出水の女顔が、歪んだ方向に綻ぶ。
「面白いコトになってきたね。それじゃ、この三人を優先的に当たってみよう。二人とも、御協力ありがとう。今日はこれで解散。タクシー呼ぶから待ってて」
「俺は要らない。歩いて帰る」
「あ……私も」
 携帯をスライドさせた出水に、忍は即座に背を向ける。
 名夕も慌ててそれに続くが――――
「んくっ」
 その背中が突如止まり、しこたま顔を打ち付けた。
「帰る前に、一つ聞いておく」
「なんだい?」
「アンタが俺に協力を要請したのは、アンタの意思なんだよな?」
 念を押すような、その物言いに――――出水は男としては高い声で即座に答えた。
「当然。ボクは『3Dブレーカー』の影響を受けないからね」
「あっそ」
 それ以上の言及はせず、忍は情報処理教室Cを後にした。


 帰り道――――
「彼等は信用なりませんね」
 それまで殆ど喋らなかった名夕が、突然いきり立ったかのように口を開く。
「……俺も結構な人見知りだけど、お前のはちょっと異常だ」
「そうでもありませんよ。現代っ子水準で言えば、私が正常で、遠藤さんは社交的な方です」
「ンなバカな。俺、一人しか家にいない時、大抵居留守使う程の人見知りだぞ?」
「そんなのは一般常識です。私は万が一その居留守が親にバレた時の為に、イヤホンを常備しています。聞こえなかったってなモンです」
 忍は、敗北を知った。
「いや……まあそれは良いとして。どの辺りが信用できないと思った?」
「遠藤さんの分析は、的確と言えば的確ですが、プロファイリングとしては普通です。そもそも、長々と文章を書く人間なんて、大抵根暗です。根暗なら、友達はいないし、一人っ子も多いでしょう。当然、導き出せる答えです」
「なんか、遠回しに俺がバカにされてねーか?」
「兎も角、あの程度の洞察に舌を巻くと言うのは、少々不自然です。私達を試したか、或いは……怪しんでいるか」
 まともに話すらしなかった先刻までとは打って変わって、名夕は饒舌だった。
「俺らのどっちかが、実はホンモノ……『リアライザー』じゃなくて『3Dブレーカー』を持ってる、って勘ぐってる」
「そう言う事です」
 得意げに語るその顔は、もはや内弁慶を越えた内若丸。
 忍は軽くイラッとした。
「逆に、あの中に実は犯人が……なんて事も考えられるぞ」
「そうですか? それなら、向こうから接近してくる必要はないと思いますけど」
「他の二人の仲間にそう印象づける為、かもしれないだろ?」
「私達をダシに使って……おおっ、その展開が一番しっくり来ます」
 今度は忍がしたり顔。
 ただ、名夕は特に不快感を示す事はなかった。
「……遠藤さんは、いつ物書きを目指そうと思いました?」
「何だよ、当然」
「参考までに、聞きたかったってだけです。話すのが嫌なら、無理にとは言いませんが」
「じゃ、嫌」
 沈黙。
 足音だけが、中途半端な月の真下で響き渡る。
「……」
「嫌だってば」
「……」
「嫌だっつってんだろ!」
「私何も言ってないですよ」
「目で追い詰めてるだろ! 圧力感じるぞ!」
 終始半眼の名夕は、それでも瞼を上げようとはせず、じーっと忍の横顔を睨んでいた。
「……わかったよ。別に隠す程の事でもねーし。中学に入ってからだよ」
 嘆息しつつ、歩行再開。
 名夕もそれに続いた。
「きっかけは?」
「そこまで聞いてどうすんだよ」
「やっぱり、気になりますよ」
 キニナル――――そんな、異性に言われてみたいワードランキング三十九位に入っている言葉が、忍の胸を少し躍らせる。
「自分以外の人が、どんな理由で物書きを目指すのか」
 例え、それが肩透かしに終わるとわかっていても。
「……別に、大した事じゃないんだけどな」
 そんな言葉とは裏腹に――――忍はそっぽを向きながら、感慨深い思いで当時の事を思い返していた。


 忍にとって、バイブルと言っても過言ではない【祈りのセシル】の終了から、一年。
 その筆者、桐生木ノ葉(きりゅう このは)は、新作【廻るメルクリウス】を発表した。
 それは、ループ現象を主題に取り入れた、ハイファンタジー。
 その一巻の発売日、忍は学校が終わると同時に、教室を飛び出して本屋へと駆け込んだ。
 前作以上に練り込んだシナリオは、より複雑化し、小学生の忍には理解できない箇所も多くあった。
 それでも、【祈りのセシル】のような怒濤の急展開は健在。
 主人公メルクリウスに次々と襲い掛かる試練、そして迫り来る世界の危機が、読み手の緊張感を煽り、忍も直ぐその虜となった。
【祈りのセシル】に続き、この【廻るメルクリウス】も大ヒット間違いなし――――そう確信する程に。
 だが、実際にはヒットする事なく、二巻が出た時点で、リリースが滞る。
 明確に終了する事もなく。
 それでも、忍は待った。
 桐生木ノ葉の世界が大好きだったから。
 妄想で続編を勝手に作りながら、それを良い意味で裏切ってくれるであろう【廻るメルクリウス】第三巻を、ずっと待った。
 ただ、人の想いと言うのは、時間の流れと共に風化する。
 中学に上がる頃には、忍の頭の中の【廻るメルクリウス】の居場所は、隅っこの方になっていた。
 それまでに出会った数多の現役の物語に押し出される形で。

 そんな、とある日。

 忍は、図書館のパソコンで『桐生木ノ葉』と言うキーワードで検索をしてみた。
 もしかしたら、病気か何かで活動を休止してて、もう直ぐ再開するんじゃないか……なんて言う期待を込めて。
 それは、半分だけ当たっていた。
 大抵の有名人であれば、人名で検索すると、Wikipediaの専用ページが上の方に表示される。
 そこには、その人物の経歴や生年月日、クリエイターならば手掛けた作品のリスト等が記されている。
 そして、人生を終えた日付も。
 桐生木ノ葉の名前の隣には、その生誕した日と、生涯を終えた日が記されていた。
 後者は、忍がその頁を開いた日と、同じ日付け。
 享年――――三十五歳。
 余りに短い生涯だった。


「普通は、死後何日か経ってから発表されるんだろうけどな。彼の場合は偶々、その日に更新されてた。身内か誰かが更新してたんだろうな」
 歩きながら話す忍の隣で、名夕は特に茶々を入れる事もなく、黙って聞いていた。
「それなのに、彼の死はどんなメディアもロクに取り上げてなかった。自分が最高の才能、最高の小説家だって思ってる人がこの世を去っても、大したニュースになる事もなく、世の中は平常運行してたんだ。俺はそれが、酷く寂しくて、怖かった。もう【メルクリウス】の続きが読めないって事も寂しかったけど……それ以上に」
 少しずつ、忍の声が熱を帯び始める。
「あれだけ! あれだけの才能を持ってて、あんなに凄い話を描ける人が! 騒がれもしないで、ごく普通の一般人みたく……平凡な人生の終わりを迎えるなんてさ。悔しいんだよ。別に知人でもないし、身内でもないけど! それでも……スゴくモヤモヤした気持ちになった」
 それは――――忍が他人に見せる、初めての感情。
 一生見せる機会のないと思っていた類の感情だった。
「……遠藤さんが、物書きを目指したのは、その弔いの為?」
「そう、かもしれないし、違うかも知れない。だって、割に合わないだろ? アニメ化まで果たした作者がさ、若くして死んでも、大して騒がれないような職業だ。目指しても大丈夫かって、今でも思うよ。でも……」
「でも?」
 その時、忍は名夕の方に目を向けた。
 ずっと下を向いていたその目を。
「……俺が後を継ぐ、なんてのは……おこがましいけどさ。俺がその世界に出て行って、『影響を受けた人は、桐生木ノ葉です』って言わなきゃ、桐生木ノ葉って作家がこの世にいた事、忘れられるんじゃないかって……そんなワケないんだけどさ」
 これは、忍の心のかなり奥の方にある、大事な大事な想い。
 それを何故、名夕に話したのか――――それは、本人にもわからなかった。
 聞かれたから答えると言う程、簡単な想いではなかった。
 それだけに、言い切った後に残るのは、夥しい量の気恥ずかしさ。
 忍の顔が、みるみる赤くなって行く。
「……っ。これで良いんだろ!?」
「はい。良くわかりました」
 名夕は、一歩、二歩と忍より前へ進む。
 そして、くるりと振り向いた。
「ありがとうございます」
 そして、ペコリと一礼。
「……礼を言われてもな」
「それでも、ありがとうと言わせて下さい」
 名夕は――――特に感想を言う事はなかった。
 ただ、二度、三度と頭を下げた。
 深く、深く。
「お、俺だけに言わせんなよ。そっちも言え」
「それは遠慮します」
「はァ!? なんでだよ! そんなのが通用すると思ってんのか!?」
「でも、もう家に着いちゃったんで」
 ついっ、と名夕が指さしたその先には、寂れたアパートがあった。
「……こんな時間に、いつまでも外にはいられません。この話はまた今度」
「おまっ……あーわかった! 絶対言えよ! こっちにこんな思いさせて、逃げるのは許さねーぞ!?」
「はい。では、お休みなさい」
 トタトタと、余韻を残す事もなく、名夕はアパートへと走って行く。
 その姿は、どこか躍動しているように、忍には見えた。
「……まさか、この話を小説のネタにする気じゃねーだろな」
 そんな心中の呟きをかき消すかのように、野良猫が奇声を上げる。
 まるで、明日から訪れる悲鳴なしでは語れない出来事を暗示しているかのように――――


 そして訪れた、翌日。
 その暗示は、早くも形となって、忍の前に現れた。
 発端は――――登校した直後。
「……?」
 周囲の様子が明らかにおかしかった。
 まるで、花火でも見るかのような目で、忍の方に視線を向けている。
 一瞬の輝きに、好奇心を擽られる目。
 それでいて、直ぐに消えてしまう儚さを哀れむ――――そんな目。
 そんな不自然な状況に心を重くしながら、席へと着く。
 すると――――
「……」
 ツンツン、と言う擬音がしそうなくらいの小さなタッチ。
 肩に残る感触は、どこか虚ろ。
 それは、隣に座っている女子の仕業だった。
 名前もロクに覚えていない、一切会話した事のない、『名もなき端役』。
 その女子は、指である方向をちょんちょん、と指した。
 そこは、学級掲示板。
 取るに足らない連絡事項や、各委員の活動報告等が貼られてある所。
 そこに――――忍には見覚えのない書類が一枚、ひっそりと追加されていた。


            『 四月二十日より、以下の者を退学処分とす。

                                  刹那 朱莉
                                    遠藤 忍  』



「……は?」
 絶句。只ひたすらに、絶句。
 それ以外の活動は一切、行う事は出来なかった。
 と、言うワケで。
 遠藤忍、入学から二週間足らずで、高校を中退――――






                                            
3rd chapter  "three - D "

                                        fin.



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